ガモウ関西 映画通、なっかんコラムVol.6

2018.11.21 Wednesday

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    オマージュ

     

    映画の解説を見たりしていると、「この作品はあの作品のオマージュである」なんて言葉を見かける事があります。そもそもオマージュってどういう意味?真似したって事?それやったらパクリとちゃうん??と思ったりした事ないですか?そこで調べてみました!!

    オマージュの語源はフランス語で、一般的には、尊敬するクリエイターや作品に影響を受けて似たようなアプローチの作品を作る事をいうそうです。意味としては「リスペクト」と同じような意味です。よく似た意味合いで「パロディ」という言葉がありますが、こちらは元になる作品に批判するような内容であったり、少しバカにした内容だったり、すなわち元ネタに対する「リスペクト」が足りない作品をいうそうです。元ネタを単に真似して笑いにしているコメディ作品などが「パロディ」に分類されるのではないでしょうか?

    映画を見ていて、「このシーンはあの作品のあのシーンと同じやん!」とか、「このカットはあの映画が元ネタやな」とか思う事があります。その元ネタの作品が大好きな作品であった場合、そのシーン、カットを観てとても感動する事があります。それは元の作品に対しての愛を感じるからだと私は思います。その映画愛こそがオマージュではないでしょうか?逆に、見ていて不快になるのは質の悪いパロディ映画といえるでしょう。

    オマージュと聞いて、個人的にまず頭に浮かぶのが、「エヴァンゲリオン」監督庵野秀明氏の市川崑監督、岡本喜八監督に対するオマージュです。

    アニメ「エヴァンゲリオン」で使用され、今では「エヴァ風タイトル」と呼ばれているタイトルロゴがあります。黒背景で、白文字明朝体を画面一杯に使ってL型などで配置するデザインです。皆様、1度は目にした事があるのではないでしょうか?これは元々、昭和の名匠市川崑監督が使用していた手法です。

    市川監督の作品で、「穴」(1957)L字型配置のオープニングクレジット(映画の冒頭に、出演者とか、スタッフの名前が歌や音楽と共に流れるアレです)が登場します。その後、探偵金田一耕介のシリーズ第1作目「犬神家の一族」(1976)のオープニングクレジットで、いわゆる「エヴァ風タイトル」が登場します。

    通常、こういったクレジットはデザイナーに任せるところ、市川監督はタイトルのヴィジュアルを「作品の内容を端的に表す重要なファクター」と位置づけ、書体や文字の位置、大きさ、配置などに、強いこだわりを持ち、綿密に計算された演出をしています。例えば、「犬神家の一族」のオープニングクレジットでは3種類の字体を使用しています。意識して観なければ、字体の違いに気付く人はほとんどいないでしょう。また、金田一シリーズの他作品「悪魔の手毬歌」「獄門島」「女王蜂」どのクレジットも「エヴァ風タイトル」なのですが、すべて違うフォントの文字を使っています。本編のみならず、クレジットの文字1つにも対しても強いこだわりある、これぞ映画職人と言えるでしょう。

    ちなみに、「エヴァンゲリオン」のタイトルの字体は、市川監督作品に出てくる文字より、少し太い字体になっています。これは市川監督が使用した字体を着きとめ、それとは違うフォントの文字を使用したそうです。作品へのこだわりは庵野監督も負けてはいません。

    ちなみに、この「エヴァ風タイトル」は、市川監督が印刷屋に「文字を大きめに持ってきてくれ」と言ったところ、印刷屋が勘違いして用紙いっぱいに文字を印刷してきた事がきっかけで誕生したそうです。

     

    また庵野監督は、昭和の鬼才、岡本喜八監督にも心酔しており、自身の作品のテンポやカット割りは岡本作品の影響を多大に受けたと言っています。

    庵野監督作品「トップをねらえ!」でのテロップの出し方、セリフ、カット割りは岡本監督の「激動の昭和史 沖縄決選」のオマージュですし、庵野監督作品「シンゴジラ」での政治家や官僚の会議シーンなどは岡本監督の「日本のいちばん長い日」のオマージュであり、また岡本監督本人が行方不明の教授役として、写真で出演されています。アニメ「エヴァンゲリオン」に登場する使徒と呼ばれる敵の血が青いのは、岡本作品の「ブルークリスマス」へのオマージュです。

     

    こうした庵野監督の市川監督、岡本監督作品に対する愛は、庵野作品を見るととても感じますし、市川崑、岡本喜八を知らない人に、巨匠たちの作品の素晴らしさを自身の作品を通して伝えています。この2大巨匠の作品は今観ても面白いですし、新鮮でスタイリッシュな作品も多々あります。

    この秋は、好きな監督、好きな作品のそのルーツを辿ってみてはいかがですか?例えば昔のモノクロ映画とか、古いしおもしろくなさそうとか決めつけたりしていませんか?カラーではない分、表現に工夫があったり、独特の世界観があったりと、面白い作品はたくさんあります。今回ご紹介しました市川崑、岡本喜八監督作品、おもしろいですので、ご興味のある方は一度ごらんくださいませ。

     

    ご清聴ありがとうございました!

     

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